ヨルスケ・ヨーライハ(3章1話)

アイリエッタ「………………………………」 アイリエッタ「……愛しています……」


ヒナリア「……す、好き……だってば 言わせんなよ、バカ……」


シャーロット「好きだよ ……あははっ 言っちゃった~」


竜胆「……す、す……す……」


竜胆「ああぁっ!言えん……!何万回と告白シーンを描いてきたが……」

竜胆「実際やってみると こんなに恥ずかしいこととはッ……!」

【一体何が……?】

ヨルスケ「浮浮浮……☆ 愛の告白にもそれぞれ個性が出るねぇ」

選択肢【みんなヨルスケが好き?】/【みんなを操ってる?】

→【みんなヨルスケが好き?】 ヒナリア「そんなわけねーだろ」

→【みんなを操ってる?】 ヨルスケ「操る? おやおや、君は俺を何だと思っているのかねぇ」

ヨルスケ「これはね……」

ヨルスケ「ゼートレート役のオーディションさ」

【オーディション?】

ヨルスケ「そうそう~ 前に話したよね? 復活させたい戯曲があるって」

ヨルスケ「そのヒロイン ゼートレート役にふさわしいのは誰か その審査中なんだ」

アイリエッタ「私の目的は演劇のヒロインになることではありませんが」

ヒナリア「ヒナだって……『あの事』教えてくれるっつーから……」

竜胆「お、同じく! 僕はただ、ヨルスケに聞きたいことがあっただけだ!」

竜胆「なのに……まさか このような耐えがたき行為をさせられるとは……!」

シャーロット「みんな同じ目的ってことか まんまとヨルスケのペースに乗せられちゃったね~」

ヨルスケ「まぁまぁ そう言わないでくれよ 探偵君」

ヨルスケ「ヒロインオーディションに合格できたら みんなが欲しがってる『情報』をあげるからさ」

ヒナリア「ったく 回りくどいっつーの んで、ヒナがこんなこと……」

                             ちょっと

ヨルスケ「何の見返りもなく欲しいものだけ得ようなんて それは鳥渡、虫が良すぎるんじゃないかい?」

ヒナリア「だからめんどくせぇけど 付き合ってやってんだろ!オマエの茶番にさ……!」

アイリエッタ「仕方がありません……」

竜胆「というか 僕までヒロイン役なのか!? 色々不利だろ!?」

ヨルスケ「そんなことないさ 歌舞伎には女形というのもあるし」

ヨルスケ「思わぬ才能を花開かせるかもしれないよ……? 苦苦苦苦……☆」

竜胆「開きたくはないが……」

シャーロット「はいはい じゃ オーディション続けるよ~」

シャーロット「ヨルスケ 君の言う通りにやってみたけど どうだった? ゼートレートが「男」に愛を告げるシーン」

ヨルスケ「んー 悪くはないけどねぇ……」

ヨルスケ「もう少し物語の世界観を理解してほしいなぁ」

ヒナリア「アドリブでやれとか無茶ぶりしてきたオマエにイラついてたから そこまで考えてなかったわ」

ヨルスケ「仕方ないねぇ……☆ 戯曲のストーリーをもう一度確認してみようか」


ヨルスケ「時は1666年 中世のとある村にひとり暮らす少女―――ゼートレート」

ヨルスケ「彼女には不思議な力があり 村人たちは『魔女』ではないかと疑っていました」

ヨルスケ「もしも魔女であるなら 彼女はあっという間に火あぶりに……」

ヨルスケ「そんな彼女に近づく村人など ほとんどいませんでした」

ヨルスケ「しかし、世界中の絶望を集めたかのような彼女の暗く重たい瞳に魅せられて 恋に落ちてしまった「男」がひとり」

ヨルスケ「「男」は、彼女が魔女だと分かってもなお、激しく燃える恋の花は抑えられず―――」

ヨルスケ「やがて彼らは 恋人同士になった」

ヨルスケ「ふたりは魔女狩りから逃れ 陰鬱な村を飛び出し ふたりだけの楽園で幸せに暮らしたとさ」


ヨルスケ「……めでたし、めでたし」

ヒナリア「……いや…… それさっきも聞いたけどさ……」

竜胆「いまいちパッとしない話だ その物語の山場はどこなんだ?」

シャーロット「登場人物の性格もよく分かんないしね~」

アイリエッタ「「男」には名前もないのですか?」

ヨルスケ「戯曲には「男」としか書かれてないんだ」

竜胆「な、何ィ!?「男」は言わば主人公……! なのに名前が無いなど 作者は何を考えているんだ……」

ヨルスケ「何か深い意図が あるんじゃないかい?」

竜胆「名前を記号化して 敢えて読者の共感を高めようというわけか……?」

竜胆「いやしかし名前をつけない というのはむしろ無機質な印象に……」

シャーロット「あれ? この戯曲って、ヨルスケが書いたわけじゃないんだ」

ヨルスケ「俺はもらっただけさ」

シャーロット「もらった? 誰に?」

ヨルスケ「……俺の師匠に、さ」

シャーロット「……ふーん……」

アイリエッタ「そろそろ再開しませんか? この後も仕事がありますので」

ヒナリア「だな さっさと終わらせようぜ この場所もなんか薄暗くて気味わりぃし」

シャーロット「もう少しマシな場所はなかったの? なーんか怪しい集団が怪しい密談してそうなとこだけど」

ヨルスケ「オーディションの開催は 人目のつかないところでやりたかったんだ 我慢してくれよ、浮浮……☆」

ヨルスケ「それじゃあ 次の審査の準備をするから しばしお待ちあれ~」

ヨルスケ「……ん? (プレイヤー名) 何か言いたそうな顔だね」

【今回も何か企んでる?】

           アハハ

ヨルスケ「企んでる? 唖破破……! 何を言ってるんだい?」

【自分にウソはつかない約束】

ヨルスケ「…………………」

ヨルスケ「……そうだったね 君にはウソをついちゃいけないんだった……」

ヨルスケ「―――企んでるよ」

ヨルスケ「当然だろ? 浮浮浮浮浮……☆」


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