UR-D(1章3話)
あらすじ
いよいよ『ザ・ゼノン』の大会が始まった。だが、初戦の相手・アイリエッタはUR-Dに対し、やけに冷たい態度をとるのだった。
ストーリー
(歓声)
ミーナ「既にたくさんの参加者が集まっているようですね」
UR-D「あぁ、いい熱気だ!勝負に命を懸ける猛者たちの鼓動を感じる!
『ザ・ゼノン』の試合前はこうでなくてはな!ハーッハッハッハ!!!」
アイリエッタ「うるさいですよ」
UR-D「ウル?」
アイリエッタ「他の方々に迷惑です 声のトーンを抑えてください」
ミーナ「アイリさん……!」
<A:怖い……>
ミーナ「そ、そうですね…… いつもはもう少し柔らかい印象なんですが……」
<B:キレイ……>
ミーナ「え、えぇ……おキレイな方ですよね
今日は少し、冷たい印象を受けますが……」
UR-D「気を付けよう!だが、そう怒るようなことではあるまい
君の天使のような美しい笑顔を見せてくれ!」
ミーナ「えっ、UR-Dさん、そういうこと言う方でしたっけ?」
UR-D「ーーアイリん!」
ミーナ「アイリん!?」
UR-D「可愛くていいだろう!ハッハッハッハ!」
アイリエッタ「……あなたと話していると、こちらまでバカになりそうです
では、バトルで」
司会者「バトル開始まで、あと……」
UR-D「おっ!まもなくバトルが始まるぞ!準備運動を始めなくては!
イッチニー!サンシ!ゴーロク!UR-D!」
ミーナ「……もしかして、UR-Dさん……アイリさんのことが……
アイリさんの方は、あまり好意を抱いているようには見えませんでしたけど……」
<片想いだね>
ミーナ「えぇ……残念ながら」
場面転換
司会者「バトル開始から既に3時間経過!!しかし、両者一歩も引かずーー
熱戦が続いております!果たして勝利の栄光はどちらにーー!!?」
UR-D「さすがだな、アイリん」
アイリエッタ「いい加減、諦めてください」
(女性の悲鳴)
UR-D「……!」
アイリエッタ「……!」
観客A「人が倒れたぞ!」
観客B「救急車をーー!」
司会者「えー、みなさん、落ち着いてください 観客の中で体調を悪くされた方がいらっしゃるようです
えー、この中に医療関係者は……」
アイリエッタ「応急処置は、私が」
UR-D「私も手伝おう!」
司会者「バトル中のお二人はダメです!
不正を防ぐため、今回の対戦はバトルを中断した場合どちらも失格ということに……」
アイリエッタ「だから何ですか?」
司会者「えっ……だから……」
UR-D「今まさに、救助を待つ人がいるのなら……
何よりも大切なのは……」
アイリエッタ「何よりも大切なのは……」
UR-D「人の命だ!」
アイリエッタ「人の命です!」
場面転換
倒れた観客「う、ううぅ……」
アイリエッタ「大丈夫ですか?ご自分の名前は言えますか?
……反応なし バイタルサインの確認を開始します
……しっかりしてください!」
UR-D「観客たち!申し訳ないが、通路を開けてくれ!
救急隊が到着したら、速やかに患者を移送せねばならん!」
ミーナ「大丈夫でしょうか……」
場面転換
救急隊員「患者の容体は安定しているようです 正確な初期対応のおかげかと ありがとうございます!」
アイリエッタ「当然のことをしただけです それより早く、患者の搬送を」
救急隊員「はいっ!」
ミーナ「倒れた方、大丈夫みたいですね……!よかったです」
UR-D「アイリんの適切な処置のおかげだな!」
アイリエッタ「私の力だけではありません
迅速な救急隊への連絡はもちろん……
こういった人の多い場所では、円滑に救護活動が行えるよう、現場の整理も大事な働きのひとつです
あなたの行動には、非常に助けられました」
UR-D「私はレスキューAIだ!こういう場面には慣れている!」
ミーナ「お二人の協力があってこそですね
……バトルは、失格になってしまいましたが」
UR-D「倒れた者が無事だったことが一番だ!バトルの機会は何度でもある!」
アイリエッタ「その通りです」
UR-D「あぁ!」
ミーナ「……結構、お似合いですね おふたりとも
UR-Dさんの絶望的な片想いかと思っていましたが、案外……」
UR-D「カタオモイ?」
ミーナ「あ、いえ……!こちらの話です!おふたりの息がぴったりだったなぁと」
UR-D「当然だ!私とアイリんは昔からの親友だからな!」
ミーナ「……親友?」
アイリエッタ「親友という定義が正しいかは分かりませんが、職務上お会いすることも多く……
ウルたんがいると、心強いのは確かです」
ミーナ「ウルたん!?」
UR-D「以前、小学校での避難訓練があってな 私とアイリんが特別講師として呼ばれたのだ
その時、子どもたちにつけてもらった愛称なのだ!」
アイリエッタ「小さい子供にも親しまれやすいよう、それ以来このニックネームで呼び合っています」
UR-D「ハッハッハッハ!アイリん、あの時は子どもたちから表情が強いとからかわれていたなぁ!
だから笑顔が大切だと言ったのだ」
アイリエッタ「笑顔も何もないあなたには言われたくありませんが」
UR-D「天使のごとき笑顔を忘れるな!それだけで、怪我をした人々の心を癒すこともできるのだから」
アイリエッタ「善処します
……仕事があるので、お先に
また会いましょう ウルたん」
<仲良かったんだね>
ミーナ「そう……ですね
……最初、アイリさんの態度が冷たく見えたのは……
気の置けない仲だったから、逆に……でしょうか?」
UR-D「私の声が大きすぎて、子どもを泣かせてしまったことがあるのだ!
そういうことがないように、アイリんは、注意してくれたのだろう!ハッハッハ!」
ミーナ「そうなんですか……
おふたりのこと、心配しちゃいましたよ」
UR-D「ウル?」
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- 最終更新: 2020/06/10
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