UR-D(1章4話)

ある日、UR-Dのもとへ火災が起きた病院から救助要請が届く。現場にいたアイリエッタは、共に患者を避難させるよう提案するが……

UR-D「今日も街は平和である!ハッハッハ!」

(着信音)

UR-D「……と、思いきや……

〇〇!災害現場へ急行するぞ!場所は……

……!ここは……!

<どうかした?>

UR-D「急がねば!!

我が同志……っ!アイリーーーーーーーんっ!」

災害現場の病院

アイリエッタ「みなさん、早く外へ……!」

UR-D「アイリん!無事かね!?」

アイリエッタ「ウルたん……!

私は問題ありません ですが、病棟内にはまだ多くの患者さんが取り残されています

急ぎ、救出に向かわなくてはなりません

私が東病棟、あなたは西を……」

UR-D「どちらも私に任せたまえ!」

アイリエッタ「えっ……」

UR-D「君はここに残り、負傷者の救護を頼む!」

アイリエッタ「それはできません ウルたんだけ、危険にさらすわけには……」

UR-D「私はレスキューAIだが、アイリんはそのプロではない!」

アイリエッタ「……っ!」

UR-D「この状況で、君が一番活躍出来ることは治療行為じゃないのかね?」

アイリエッタ「……あなたのような体力バカに説得されるのは悔しい限りですが、……その通りですね」

UR-D「憎まれ口を叩く暇があるなら、早く救護の準備をしたまえ!」

アイリエッタ「分かりました ただし、無理はしないでください」

UR-D「了解した!」

アイリエッタ「……気をつけて」

場面転換(UR-Dの頭に引火している)

UR-D「これで患者全員の避難を完了したぞ!ハーッハッハッハ!」

<A:燃えてる!>

UR-D「その通り!私の心はいつでも燃えている!ハッハッハ!」

<B:熱くない?>

UR-D「熱い?すまん!生物的な温度の感じ方は分からん!」

場面転換

アイリエッタ「ウルたん、おつかれさまです

負傷者は多いものの、みな軽症です これだけの火災でありながら、死者はひとりもいません」

UR-D「それはよかった!」

柄の悪い患者「よくねぇーよ!」

UR-D「うむ?」

柄の悪い患者「お前の救助が遅いから大怪我しただろーが!どう落とし前付けてくれんだよ!」

アイリエッタ「……あなたの火傷は、ごく軽症です 煙も吸っていません 全治10分かと」

柄の悪い患者「あぁ?俺はこの病院の理事長の息子だぞ!?」

アイリエッタ「その情報を提示することに、何か意味があるのですか?」

柄の悪い患者「頭わりーな!お前なんか、いつでもクビにできるってことだよ!」

アイリエッタ「私はこの病院に雇われているわけではありませんので、あなたの肩書きは私にとっては無意味です」

柄の悪い患者「あぁ!?ケンカ売ってんのか!?」

アイリエッタ「それはこっちのセリフです」

UR-D「まぁまぁ、落ち着きたまえ ふたりとも……」

柄の悪い患者「お前は黙ってろ!UR爺!!」

UR-D「…………ん?今なんと……」

柄の悪い患者「口出すなって言ったんだよ、UR爺!!」

UR-D「い、いや……私の名前……」

柄の悪い患者「あ?アンタ確か、UR爺っていう名前のコードマンだろ?」

(雷鳴)

UR-D「…………………!!!!

わ、私の知名度は……

まだまだ……

ただのアルファベット老人……か」

アイリエッタ「ウルたん……?」

柄の悪い患者「いいから、さっさと俺を新しい病院に運べ!

この役立たず!」

UR-D「…………………

あぁ、確かに私は……役立たずかもしれんな……」

アイリエッタ「……ウルたん、この方の雑言を気にすることはありません」

UR-D「……いや……」

アイリエッタ「……ウルたん……」

UR-D「とりあえず、この者を近くの病院に送り届けてくる」

アイリエッタ「途中で放置しても構いませんよ」

アイリエッタ「……〇〇さん ウルたんは隠していたようですが、一番の重症はあの方です」

<えっ……>

アイリエッタ「人間で例えるなら、重度の火傷、打撲、擦過傷といったところでしょうか

そして大量の二酸化炭素を体内に蓄積しています

もちろんAIですから、人間のような不調をきたすことはありませんが……

暫く安静にコンコードのあなたが、無茶しないよう見張っていてください」

<分かった>

アイリエッタ「お願いします」

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  • 最終更新: 2020/06/10