キィラン・カッチラム(3章5話)

キィラン「はぁ……はぁ……」

NULL「………………」

キィラン「か、勝てた……」

ランバーン「無茶なバトルだったな エレメント全賭けなんてよ」

キィラン「うん……でも、バトルの最中はもう必死で……」

キィラン「ギリギリ勝てたって感じだよ……」

キィラン「それにしても……ビホルダーグループから盗まれたっていうのは『NULL』だったんだね」

ランバーン「コイツは『消去計画』について知ったヤツを消すために連中が使ってるAIだ」

ランバーン「『NULL』はオフィシャルAIの中でも素体が複数いるタイプ……」

ランバーン「コイツだって お前らの闘った『NULL』と同じとは限らない」

???「ほう……? なかなかやるな 『NULL』に勝つとは」

キィラン「───誰!?」

マックス「そんなに邪険にしなくてもいいだろう? 招かれざる客というわけじゃないんだ」

マックス「なあ、ランバーン」

ランバーン「…………」

キィラン「ランバーン…… この人、知り合いなの?」

マックス「やあ、君は武闘家AIのコードマン キィラン・カッチラムだな」

マックス「私のことも紹介してくれないか ランバーン」

ランバーン「……チッ しゃあしゃあと……」

ランバーン「……コイツはマックス=アルデマーニ ビホルダーの広報部 幹部級の人間だ」

マックス「そのとおり そして『危険分子消去計画』を積極的に推進してきた者だ」

キィラン「……!?」

マックス「今日は、彼がリストを回収してくれるというので ここで待ち合わせていたはずなんだがな」

マックス「どういうことか 説明してもらおうかランバーン」

キィラン「どうして、ランバーンが『消去計画』の首謀者とつながってるの!?」

ランバーン「…………」

マックス「まあまあ 喧嘩してるよりいいだろ?」

マックス「むしろ 招かれざる客は君のほうだ キィラン・カッチラム」

キィラン「私……!?」

ランバーン「……おい、マックス ずいぶんといい度胸だな」

ランバーン「敵に回るかもしれないヤツらにみずから『消去計画』の首謀者だと明かすとは……」

キィラン「ちょ、ちょっと待って……!?」

キィラン「ランバーン どういうことなの!?」

マックス「私は彼と 取引をしに来ただけだ」

キィラン「取引……?」

マックス「リストと、ランバーンの欲している情報の交換だよ」

ランバーン「……マックス お前、なにを考えてやがる」

マックス「ああ、君には伝えていなかったか リストが必要なのは 私が『消去計画』を抜けることにしたからだ」

マックス「私に関係のないことについて話しても なにも不都合はないだろ?」

ランバーン「……なるほどな リストを欲しがったのは 自分が関わってた証拠を消そうってことだったのか」

キィラン「どういうこと? 最初から説明して」

マックス「ふむ……そうだな それなら取引をしようか キィラン・カッチラム」

キィラン「私と……取引?」

マックス「そのリストと 君たちの欲する情報を交換するんだ」

キィラン「……!!」

マックス「悪い条件の取引ではないはずだ 私が話す以上の情報は その記録媒体の中にはないからな」

マックス「『消去計画』について知ってしまった君たちは リストを持っていようがいまいが狙われることにはなるが」

キィラン「…………」

【リストは渡す】

キィラン「そうだね……(プレイヤー名)の言うとおりにするよ」

マックス「賢い選択だ」

キィラン「でも……情報をすべて話し終わるまでリストは私たちが持っておく」

マックス「いいだろう」

マックス「まず 君たちが知りたがっている『危険分子消去計画』はビホルダーグループ公認のものではない」

マックス「それどころか ビホルダーグループの本流には極秘で行われているものだ」

キィラン「ビホルダーグループの中で進められてる計画なのに……?」

マックス「ビホルダーの本流とは少しばかり考え方の違う連中なんだよ」

マックス「私は、優れた開発者を尊敬していてね コイツはと思った開発者に相応の環境と報酬を与えている」

マックス「『消去計画』を取り仕切っている開発者にも期待していたんだが……」

ランバーン「……ハッ とかげの尻尾か 都合が悪くなれば切り捨てて終わりだ」

ランバーン「ビホルダーの幹部連中は自分以外のことなんてなんとも思っちゃいねぇんだよ」

マックス「人間とはそういうものだ ランバーン」

マックス「まあ、そんなこんなで 私も一時は『危険分子消去計画』を後押ししていたんだが」

マックス「最近、彼らの動向は どうも目に余る」

マックス「たとえば、コレだ」

キィラン「コレ、って……『NULL』?」

マックス「ああ ビホルダーグループにあからさまに反抗するなんて ヤツらも焼きが回ったものだよ」

マックス「ヤツらは近々 『消去計画』を実行に移すつもりだ」

キィラン「……! そんなことになったらののっちが……!!」

マックス「……ただ、彼らのせいで『NULL』を失うにしても今はまだ都合が悪い」

マックス「ことが起こってもいいのは 私が『消去計画』に関わっていた痕跡をすべて消してからだ」

ランバーン「……保身もここまでくると恐れ入るぜ」

マックス「「上」に行くにはこういった根回しも必要でね」

マックス「そういうわけで、ひとまず『NULL』は回収していくよ あとは……」

キィラン「リストは渡すよ 必要な情報が、少しでも手に入ったからね」

キィラン「……私は なんとしてでも親友を守らなきゃ」

ランバーン「…………」

マックス「話のわかる相手で助かるよ 礼として、もうひとつ情報をやろう」

マックス「私が身を引けば『消去計画』は歯止めを失い より過激に進んでいくことになる」

マックス「そして……一度でもリストを手にした君たちは ヤツらを潰さない限りこの先も狙われ続けるだろう」

【望むところだ】

キィラン「そうだね 一味がののっちじゃなくて私たちを狙ってるうちに かならず『消去計画』を潰してみせる」

マックス「ハハ、期待してるよ そんな『計画』などなかったかのようにきれいさっぱり潰してくれ」

マックス「ビホルダーグループ自慢の『NULL』を倒した君たちの力でね」

マックス「ハッハッハッハ!」

キィラン「私たちの…… 『力』……」


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  • 最終更新: 2020/07/12