ユーキリ・竜胆(2章1話)

竜胆の仕事場に呼び出されたコンコード。竜胆は何やら深刻そうな雰囲気だ。

竜胆「…………………………」

竜胆「ようやく来たか (ユーザー名)」

――ゴゴゴゴゴ……

<A. どうしたの?>

竜胆「大変なんだ……!」

<B. お腹痛いの?>

竜胆「コードマンはお腹痛くなったりしないっ!」

竜胆「連載中のゼノンザード漫画 『ZENONZARD ビギニングオブ・ザ・ゼノン』についてだ……!」

竜胆「前回の配信で 累計閲覧数が1000万回を超えた……」

<A. すごい、おめでとう!>

竜胆「いや、それが……」

<B. まだまだいける>

竜胆「いきたいところなんだが……」

竜胆「――更新を重ねるごとに 読者数が減っているらしい」

竜胆「編集部は大騒ぎだそうだ あのユーキリ・竜胆作品の閲覧数が落ち込むなんて、と」

竜胆「――実は 原因は分かっているんだ」

<なに?>

竜胆「……(ユーザー名)と共に見出した『リアル路線』…… あれが、原因だ」

竜胆「ナマのゼノンザードの面白さを描く事には成功したが…… 漫画としては実は展開の波が足りない」

竜胆「『ザ・ゼノン』の試合の繰り返しでしか なくなっているんだ」

竜胆「商業漫画としては恐らく 王道少年漫画のような熱い展開を フィクションを差し込んだ方が成功する……」

竜胆「計算ではそう出てる だが、僕は……」

竜胆「…………………………」

竜胆「お前はどう思う (ユーザー名)……」

<A. 竜胆はどうしたいの?>

竜胆「僕は…… (ユーザー名)と探って、ようやく見出したこの路線を変えたくはない」

<B. 変えた方がいいんじゃない?>

竜胆「だが僕は……」

竜胆「(ユーザー名)と探って、ようやく見出したこの路線を変えたくはないんだ……」

竜胆「離れた読者を取り戻さなければならんのも分かっているんだが…… むう……」

<A. ちょっとだけ脚色するとか>

竜胆「ちょっとだけ、か…… リアル路線を生かして少しだけスパイスを入れる という事だな?」

<B. カードゲーム漫画を研究しよう>

竜胆「売れるカードゲーム漫画の要素を入れるという事か リアル路線を生かしたまま行けるか……試す価値はあるな」

竜胆「うんっ (ユーザー名)のお陰で少し光明が見えた 感謝するぞ!」

竜胆「よぉし、仕切り直しだぁっ!!」

<暗転>

竜胆「最新話が描けたぞーーッ!!」

――ババーン!!

<早っ!!>

竜胆「思いついたらすぐ漫画を描いた方が早いのでな 流石は僕だ」

竜胆「……という訳で、読んでくれ (ユーザー名) クロード」

クロード「その為に呼ばれたのか、俺は」

竜胆「君は、この僕が認める優秀な編集者だからな」

クロード「だからその編集者とやらではないんだが……」

クロード「まあ読むだけは読もう」

竜胆「ああ、頼むっ!」

――ぺらっ……

<竜胆の漫画>

竜胆「うっ……」

竜胆「アアアッ!」

――ズキッ

(ユーザー名)「竜胆、どうしたの!?」

キィラン「なっ……!! 君はまさか知らないの!?」

(ユーザー名)「え……?」

キィラン「私達が賭け合っている この『エレメント』の正体を……ッ!!」

竜胆「やめろ、キィラン…… (ユーザー名)には言うな……っ」

キィラン「これは私達コードマンの――」

竜胆「やめろおおおおおぉぉぉっ!!」

キィラン「――『命』、だよ……!!」

――バァァァン……!!

――TO BE CONTINUED――

<竜胆の書斎>

竜胆「衝撃事実っ! 『エレメント』はコードマンの命だったのだー!」

クロード「何……!?」

<A. そうだったの~!?>

竜胆「いやふたりとも そういう設定だからな??」

<B. そういう『設定』か>

竜胆「そうだ これが僕の秘策……ッ!」

竜胆「あれから今まで発刊されたカードゲーム漫画を読み返し 研究した…… すると、ある共通点に気づいたのだ」

竜胆「……カードゲーム漫画は とにかくよく命を賭け合う……!!」

――ドンッ☆

竜胆「だから僕の漫画にもそういった要素を取り入れてみたのだっ! どうだ!?」

クロード「カードゲームで人が死ぬ しかもコードマンが というのは理屈が良く分からない設定だ」

竜胆「理屈などない! 雰囲気っ!!」

クロード「分からん」

竜胆「様式美だよ様式美 漫画好きはスルッと入ってくる設定さ」

クロード「そういうものなのか? しかしまあ、これによって緊迫感が出ているのは間違いないな」

竜胆「フッ そういう狙いだからな」

竜胆「実際は、この間バトルしたキィランとはこんな会話はしてない」

竜胆「むしろひとつも会話していない」

<A. 女の人苦手だしね>

竜胆「苦手とか、そそそそんな 意識とかしてないッ!」

<B. お喋りしたかったんだね>

竜胆「そっ、そんな事思ってなぁぁぁいっ!」

クロード「現実通りに描くと味気ないラストが 脚色によって盛り上げられているのか」

竜胆「『引き』になっている という訳なのだっ!」

クロード「ふむ…… 読者に待ち遠しいと思ってもらえる、という意味では いい形のラストシーンだと思うぞ」

竜胆「本当か? 担当編集のお墨付きもでたなっ!」

クロード「だから俺はそんなんじゃ……」

竜胆「早速、編集部に送ろうじゃあないかッッ!!」

<暗転>

――『ZENONZARD ビギニングオブ・ザ・ゼノン』 最新話が更新されました!

<市街地>

男子高校生A「今週の『ゼノビギ』見た?」

男子高校生B「見た見た 続き気になるよな」

<応接室>

???「これは……」

<ヒナリアの私室>

???(ヒナリアのシルエット)「…………………………」

<市街地>

???(ピモタのシルエット)「……………………っ!」

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プロローグ

1章「逆説のレゾンデートル」
1話 2話 3話
4話 5話 5.5話
2章「相剋のオーバーシア」
1話 2話 3話
4話 5話 5.5話
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  • 最終更新: 2020/06/10